1はじめに
自民党の裏金問題について、誤解を招く言説が蔓延しており、何が問題なのかが忘れ去られているように感じます。そこで、裏金の問題点となぜこの問題が重要なのか、整理をしておきます。
ポイントは次の通りです。
- 政治資金パーティで集金されたお金を党から環流させる方法で、政治資金収支報告書に記載されない不透明なお金を一部の政治家が手にしており、これらの行為が派閥により組織的に行われていたこと。つまり政治資金規制法の趣旨である「政治活動の公明と公正の確保」に対する認識が、政治家個人だけでなく派閥組織において欠如してたこと。
- そもそも、政治資金規正法が企業から政治家個人への献金を禁じる趣旨からみるとザル法であり、「政治活動の公明と公正の確保」の面から見直しが必要であること。
順に説明します。
2 裏金問題で行われていたこと
自民党の裏金問題は、政治資金パーティなどを通じて集められた資金が一部の政治家に不透明な形で流れたことにあります。特に派閥ごとに資金が集められ、派閥の管理の下で政治資金収支報告書に記載されない形で裏金として手渡されるという実態が問題視されています。この過程では、適正な監査がなされず、透明性の欠如が深刻です。また、派閥間の力関係や政治的な取引に使われ、政界の裏で資金がどのように動いているのかが市民の目から隠されていました。こうした行為は、政治活動の信頼性を損ない、国民に対する説明責任を果たせないものとなっています。

3 裏金の問題点
裏金の最大の問題点は、政治家が不透明な資金管理を自覚的に行っていたことです。政治資金規正法は、その目的を次のように定めています。
第一条 この法律は(略)政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治団体の届出、政治団体に係る政治資金の収支の公開並びに政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受の規正その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする。
政治家は権力をもつため、その活動は「公明と公正を確保し」て行うことが基本であり、政治家はその自覚が求められます。しかし、不透明な形で資金が企業から政治家個人に流れると、その企業に対して利益誘導をおこなったり、公正な政治判断を歪めたりするリスクが高まります。国民は政治に対して信頼を寄せることができなくなり、結果として投票率の低下や政治離れが進む恐れがあります。裏金は、政治家の倫理観の欠如を象徴するものであり、政治における公平性と透明性を大きく損なう要因となっています。
4 政治資金のあり方と政治家に求められる自覚
では、政治資金はなぜ必要なのでしょうか。政治にお金がかかる、といった場合、たいていの人が思い浮かべるのはポスターの印刷だったり、地域での冠婚葬祭の出費などです。しかし、われわれが政治家に求める者は、集票のためのそのような活動ではなく、政策の立案能力やその実現力であるはずです。そして、それらの能力は適切な投資によってのみ得られるはずです。
だから、そのような出費は正々堂々と行えばよい。政治家には使った費用の透明性と説明責任が強く求められます。政治活動は国民の信託によって行われており、その資金が不正に利用されることは国民の信頼を裏切る行為です。政治家は、自らの活動が公正であることを常に念頭に置き、資金の出入りを明確にし、法に基づいて行動することが求められます。特に派閥や組織の力が強い場合、個々の政治家の判断が組織の論理に影響されることが多いため、個人としての倫理観や責任感が一層重要になります。国民に対する説明責任を果たし、公正な政治を実現するためには、資金管理の適正化と倫理意識の徹底が必要不可欠です。

5 政治資金規正法の問題点
現行の政治資金規正法は、企業献金の禁止など一定の規制を設けてはいるものの、多くの抜け道が存在するため、実効性に乏しいと指摘されています。例えば、企業からの政治家個人への献金が禁止されている一方で、政治資金パーティーや派閥を通じて事実上の献金が行われるケースが後を絶ちません。また、収支報告書における資金の使途が曖昧で、監査機能も十分ではないため、裏金の発生を防ぎきれていないのが現状です。このため、規正法の見直しが急務であり、資金の流れをより明確にし、違法な資金運用を厳しく取り締まる仕組みが必要です。特に、資金の透明性を高めるためには、収支報告の義務化や第三者機関による厳密な監査が求められます。
6 政治活動の公明と公正の確保に向けて
政治活動の公明と公正を確保するためには、制度改革と政治家自身の倫理意識の向上が不可欠です。まず、政治資金規正法の抜け道をふさぎ、より厳格な規制を設けることで、違法な資金の流れを断ち切る必要があります。
また、国民が政治資金の流れを把握できるよう、収支報告の透明性を高め、監査体制を強化することが求められます。
しかし、このような問題が生じている根本には、有権者にも一定の責任があると思います。政治にはお金がかかることは事実ですし、その多くが政党助成金という税金でまかなわれているからといって、無関心でいたり、ただ要求をするだけでは政治家に倫理観を求めることは、実際難しいと思います。
関心を持って、投票に行くことは当然ですが、それに加え、それぞれができる範囲で信頼できる政治家をつくり、直接支援する、あるいはそのような政治家がいない場合でも、政治家の行動や言説に注意を払い、よい行動をした政治家をそのときだけでも支援することが大事ではないでしょうか。


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